「山奥ニート」やってます。を読んだ感想。
- 2020.06.08
- 読書

※一部本文の引用/ネタバレありのため、気にする方はご遠慮ください

今回はタイトル通り、光文社より2020/5/20に発売された石井あらた(葉梨はじめ)氏著作 「山奥ニート」やってます。の読書感想になります。
変わったタイトルの本ですが、おおまかな内容は下記になります。
『山奥ニート』やってます。のおおまかな内容紹介
様々な理由でニートや引きこもりになった人たちを集め、居場所のない若者の居場所を作る活動をしている和歌山県を拠点とするNPO法人 共生舎。
和歌山の限界集落で廃校になった小学校で家賃0円、生活費月1万8000円のみで共同生活し、「なるべく働かずに生きて行く」をテーマに生きる山奥ニート初めての住人 石井あらた氏が、山奥に移住するまでの経緯や山奥ニートの実態、ならではの体験談など5年間の生活をまとめた一冊になります。
挑戦的な生き方で、2年ほど前から興味を持ち、山奥ニートの住人のブログやSNSで調べていました。あまり全貌が見えなかったのでこの本は個人的に嬉しいです。
舞台は和歌山県田辺市五味地区。
元から居住している住人は5人、平均80歳以上。山奥ニートは現在15人。
山奥ニートの日常は、主に読書やゲーム、アニメやSNSを見て、寝る。基本的に引きこもって、疲れない程度に働くという生活スタイル。
最寄りの駅まで車で2時間、一番近い信号機まで1時間も距離がある中々人も寄り付かないような山奥の超限界集落での生活。
そんな辺鄙な地でも山奥ニートの生活に興味を持った人たちが、5年間でおおよそ200人の見学に来ているらしいです。
「山奥ニート」やってます。の個人的に好きな話を紹介。
山奥を去る人
第2章 山奥ニート日記で、19歳の男性が山奥を去る際のお話。
去る理由は、足踏みしている人生が嫌だったのか。若さゆえ配慮にかけた発言も男性の感情に気付いて汲み取り、山奥での体験を将来生かしてほしいと見守った著者の姿勢も素敵です。
この男性が著者に投げかけた「人ってなんで生きてるんですかね?」というセリフが考えさせられます。
町の皆さん、よいお年を
普段は他者にあまり干渉せず、住人での共同作業もほとんどないという山奥ニート大晦日の話。
大晦日のわくわく感、住人みんなで集まり、普段より贅沢な食事食べて『深夜食堂』の大晦日の年越しそばの回を思い出してほっこりした気分になりました。
「よいお年を」って言葉は何気になく使っていたけど、いい言葉。
山奥ニートへのイントロダクション
これから山奥ニートを始めるため、ジョー氏と2人鈍行列車で当時のNPO代表に会いに行く道中の著者の心中を表現する文章が読んでて心躍りました。
ジョーくんは痩せ型で、僕は太り気味だった。僕は『ブルース・ブラザーズ』みたいで、いいコンビになりそうだなと思った。
という一文。
映画『ブルース・ブラザーズ』の冒頭の刑務所から兄のジェイク出てきて、迎えにきた弟のエルウッドの車に乗り込み孤児院に向かうシーンが頭に浮かび、これから物語が始まる期待感が伝わってきます。
ニート食品加工所
過去に著者のブログでも書いていた内容で、共生舎の敷地内の食品加工所で食品を作り売ることが出来て、山奥ニートのバイト先にもなっている、直売所【三川夢来人の館】で、何か作って売ってみたいという計画の話。
畑でにんにくと唐辛子を使ってラー油を販売したい。という話の一文で、
「ニートが油売ってるいる」なんて、笑えない?
この楽天的な感じが、著者のゆったりした性格を感じれて好きです。
まとめ
以上、「山奥ニート」やってます。の感想になりました。
その他にも山奥ニートの支出/収入について、住人のインタビュー、山奥ニートのこれからについてなどが本書で書かれています。
アートや企画ではなく、ただの生活
生きづらさを感じている人、あまり働かずに生活したい人、それ以外にも若い人にもこんな生き方の選択肢もある事を頭の片隅に入れておくと少し楽になります。
本書の影響で今後新たに共生舎のような場所が出来たり、ポストコロナ社会での生活の在り方を見直すきっかけにもな他人にると思います。
自分が出来る範囲で働き、収入を得て、ストレスなく生活する。
賛否が分かれる生き方かもしれませんが、是非読んで頂くことをおすすめします。
機会があれば、数年後でも続編を期待しています。
今後も「持続可能なニート」を継続していってほしいです。
石井あらた(葉梨はじめ)氏のSNS情報
ブログ:山奥ニートの日記
共生舎ホームページ:特定非営利活動法人 共生舎
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